介護事業所の申請事項を変えたときは、変更があった日から10日以内に指定権者へ届け出ます(介護保険法第75条第1項)。事業を廃止・休止するときは、その日の1月前までに届け出ます(同条第2項)。変更届を出し忘れても指定がすぐ取り消されるわけではありませんが、運営指導では、届出の内容と実際の運営が合っているかが確認されます。

届け出る事項は、サービスの種類ごとに施行規則で決められています。訪問介護の場合は、事業所の名称・所在地、申請者(法人)の名称・主たる事務所・代表者、登記事項、平面図、管理者・サービス提供責任者、運営規程などです(介護保険法施行規則第131条第1項第1号)。加算の体制に関する届出や、処遇改善加算の計画の変更は、変更届とは別の手続きです。

この記事では、条文にもとづいて、届け出る項目、期限、よくある出し忘れを整理します。


1. 変更届の根拠と期限

介護保険法第75条は、指定居宅サービス事業者の届出について次のように定めています。

届出の種類期限根拠
申請事項の変更変更があった日から10日以内介護保険法第75条第1項
休止した事業の再開再開した日から10日以内介護保険法第75条第1項
事業の廃止・休止廃止・休止の日の1月前まで介護保険法第75条第2項

届出の様式は、厚生労働大臣が定める様式によるとされています(介護保険法施行規則第131条第5項)。厚生労働省は申請・届出の標準様式を公開しており、指定権者はこれに沿った様式をホームページに載せています。電子申請・届出システムに対応している指定権者では、オンラインで提出できます。

地域密着型サービスと居宅介護支援は市町村長が指定権者なので、変更届も市町村に出します。居宅サービスは都道府県(指定都市・中核市では市)に出します。


2. 届け出る項目(訪問介護の例)

施行規則第131条第1項第1号は、訪問介護について、指定申請のときの申請事項(同規則第114条第1項)のうち、次の号に掲げる事項の変更を届け出るよう定めています。

申請事項(第114条第1項)届出の対象か実務でよくある変更
第1号 事業所の名称・所在地対象事業所の名称変更、移転
第2号 申請者の名称・主たる事務所の所在地・代表者の氏名等対象法人名の変更、本店の移転、代表者の交代
第3号 事業開始の予定年月日対象外
第4号 登記事項証明書または条例等(当該事業に関するもの)対象定款の目的の変更、役員の変更
第5号 事業所の平面図対象事務室・相談スペースの改装、レイアウト変更
第6号 管理者・サービス提供責任者の氏名・経歴・住所対象管理者の交代、サービス提供責任者の増員・交代
第7号 運営規程対象営業日・営業時間・通常の事業の実施地域・利用料の変更

通所介護や短期入所など、利用定員のあるサービスで定員を増やす場合は、従業者の勤務の体制と勤務形態を記載した書類を添付します(同規則第131条第2項)。定員を増やすと人員基準や設備基準の計算も変わるため、事前に指定権者へ相談してください。

他のサービスの届出事項は、同規則第131条第1項の各号に定められています。自事業所のサービスの号を確認し、指定権者の「変更届出書の添付書類一覧」と照らし合わせます。


3. 変更届と間違えやすい手続き

変更届と混同しやすい手続きを整理します。どれも出し先は同じ指定権者ですが、根拠・様式・期限が違います。

手続き出すとき期限・算定開始根拠
変更届申請事項(名称・管理者・運営規程など)が変わった変更から10日以内介護保険法第75条第1項
体制等の届出(加算)加算の算定を始める・区分を変える・要件を欠いた居宅系は15日以前で翌月から、16日以降は翌々月から。要件を欠いたら速やかに老企第36号 第一1(5)・第一4
処遇改善加算の変更届出書法人の合併などで計画書の作成単位が変わった、キャリアパス要件などの変更、加算区分の変更など通知の定めによる老発0313第6号(令和8年度分)
廃止・休止届事業をやめる・休む1月前まで介護保険法第75条第2項
指定の更新指定の有効期間(6年)が満了する満了日まで介護保険法第70条の2

特に多いのが、管理者の交代で変更届は出したが、加算の要件にかかわる職員の変更を体制等の届出に反映していないケースです。管理者やサービス提供責任者が加算の要件(配置や資格)に関係している場合は、変更届と体制等の届出の両方を確認します。

処遇改善加算の通知(令和8年度分)では、就業規則の改訂など一部の変更は、変更届出書ではなく実績報告のときに報告すればよいとされています。どの変更を変更届出書で出すかは通知の一覧で確認してください。


4. 廃止・休止のときの手続き

事業を廃止・休止する場合は、その日の1月前までに、次の事項を届け出ます(介護保険法施行規則第131条第4項)。

  • 廃止または休止しようとする年月日
  • 廃止または休止しようとする理由
  • 現にサービスを受けている者に対する措置
  • 休止の場合は、休止の予定期間

届出をした事業者には、利用者の引継ぎの義務があります。届出の日前1月以内にサービスを受けていた人で、廃止・休止の日以後も相当するサービスを希望する人に対して、居宅介護支援事業者や他の事業者などとの連絡調整その他の便宜の提供を行わなければなりません(介護保険法第74条第5項)。

利用者のケアマネジャーに早めに連絡し、引継ぎ先の事業所の候補と、切り替えの日程を一緒に決めます。1月前という期限は「届出の期限」であり、利用者の引継ぎにはそれ以上の時間がかかることを前提に計画してください。


5. 出し忘れを防ぐ手順

変更届の出し忘れは、「変更を決めた人」と「届出をする人」が違うときに起こります。次の流れを事業所の決まりにしておくと防げます。

  1. 変更の予定が決まったら共有:人事異動・移転・料金改定・営業時間の変更などが決まった時点で、届出の担当者に知らせる
  2. 対象の判定:施行規則第131条の項目と指定権者の添付書類一覧で、変更届が要るか、体制等の届出も要るかを判定する
  3. 書類の準備:変更後の運営規程、平面図、経歴書、資格証の写し、登記事項証明書などをそろえる
  4. 関連書類の同時更新:運営規程を変えたら、重要事項説明書・契約書・事業所内の掲示・ホームページの記載も同じ日付で直す
  5. 提出と控えの保存:10日以内に提出し、受付の記録(受付印や電子システムの受付番号)を保存する
  6. 介護サービス情報公表の更新:公表されている内容(管理者・営業時間など)も、都道府県の案内に従って更新する

変更が発生したときのチェックリスト

  • 変更の内容と変更日を書面で記録した
  • 施行規則第131条の届出対象かを確認した
  • 加算の要件(人員・資格・体制)に影響しないかを確認した
  • 運営規程・重要事項説明書・契約書・掲示の記載をそろえた
  • 利用者への説明が必要な変更(料金・営業日など)は、説明と同意の記録を残した
  • 10日以内に提出し、控えを保存した

6. 運営指導で見られる点

運営指導では、運営規程・重要事項説明書・実際の運営の3つが一致しているかが確認されます。厚生労働省の「介護保険施設等運営指導マニュアル」でも、運営規程と重要事項説明書の内容の齟齬や、勤務体制一覧表と勤務実績の照合が確認の例として挙げられています。

よくある不一致は次のとおりです。

  • 管理者が交代したのに、重要事項説明書の管理者名が古いまま
  • 営業時間を変えたのに、運営規程が変わっていない(変更届も出ていない)
  • 通常の事業の実施地域を広げたのに、運営規程と重要事項説明書が古い
  • 利用料(食費・その他の日常生活費など)を改定したのに、運営規程と掲示が古い

変更届は「出すこと」だけでなく、事業所の書類一式を同じ日付でそろえることまでが1つの作業です。


7. まとめ

  • 申請事項の変更と休止からの再開は、10日以内に届け出る(介護保険法第75条第1項)
  • 廃止・休止は1月前までに届け出る(同条第2項)。利用者の引継ぎの便宜を提供する義務がある(同法第74条第5項)
  • 届け出る項目はサービスごとに施行規則第131条で決まっている。訪問介護は名称・所在地、法人・代表者、登記事項、平面図、管理者・サービス提供責任者、運営規程など
  • 加算の体制等の届出、処遇改善加算の変更届出書は別の手続き。管理者の交代などでは両方を確認する
  • 変更届を出すときは、運営規程・重要事項説明書・契約書・掲示・情報公表を同時にそろえる

加算の届出の締切と算定開始月のルールは、介護報酬の加算の取り方で詳しく整理しています。開業前の申請事項そのものは介護事業の開業の流れを参照してください。


参考資料