外国人介護人材の受け入れには、EPA(経済連携協定)、在留資格「介護」、技能実習、特定技能1号の4つの制度があります。4つは目的がそれぞれ違い、在留できる期間、家族の帯同、人員配置基準への算入の扱い、受け入れる事業所に求められる要件が異なります。最初に決めるべきなのは、「どの制度で、どの水準の人を受け入れるか」です。

令和7年4月からは、技能実習生と特定技能の外国人も、一定の要件のもとで訪問介護などの訪問系サービスに従事できるようになりました。また、技能実習制度は育成就労制度に見直される法律が令和6年6月14日に成立しており、令和9年4月1日の施行が予定されています。

この記事では、厚生労働省の資料にもとづいて、4制度の違い、訪問系サービスの要件、受け入れの準備を整理します。


1. 4つの制度の違い

厚生労働省の「外国人介護人材受入れの仕組み」をもとに、制度の違いを表にまとめます。

制度開始・対象国制度の趣旨在留期間の目安受け入れの流れ
EPA(経済連携協定)インドネシア・フィリピン・ベトナム二国間の経済連携の強化介護福祉士候補者として就労・研修し、国家試験の合格を目指す介護福祉士候補者として入国し、介護施設等で就労・研修(3年以上)→国家試験
在留資格「介護」平成29年9月1日〜専門的・技術的分野の外国人の受入れ介護福祉士として従事する限り、更新の回数制限なし。家族(配偶者・子)の帯同が可能留学生として入国し、介護福祉士養成施設(2年以上)を卒業、または技能実習などで実務経験を積んで、介護福祉士の資格を取得
技能実習平成29年11月1日〜本国への技能移転最大5年間実習実施者(介護施設等)の下で実習。入国1年後・3年後・5年後に技能評価試験を受検
特定技能1号平成31年4月1日〜人手不足対応のための一定の専門性・技能を持つ外国人の受入れ通算5年間(国家試験でパート合格など一定の要件を満たせば最長6年間)技能水準・日本語能力水準を試験等で確認して入国し、介護施設等で就労

いくつか補足があります。

  • 養成施設の卒業者も、平成29年度からは国家試験の合格が必要になりました。ただし、令和8年度までの卒業者には、卒業後5年間の経過措置があります。
  • EPA介護福祉士候補者として4年間、適切に就労・研修に従事した人は、特定技能1号へ移るときに技能試験と日本語試験などが免除されます。
  • 技能実習は、育成就労制度に見直す法律が令和6年6月14日に成立し、令和9年4月1日に施行予定です。これから技能実習で受け入れる場合は、制度の移行の扱いを確認しておきます。

2. 特定技能1号の要件

特定技能1号(介護)で受け入れる場合、本人と受入れ機関のそれぞれに要件があります。

本人の要件(厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」)

区分必要な試験
技能介護技能評価試験
日本語介護日本語評価試験に加え、国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上

次の人は、試験が免除されます。

  • 介護分野の第2号技能実習を良好に修了した人
  • 介護福祉士養成施設を修了した人
  • EPA介護福祉士候補者としての在留期間(4年間)を満了した人

受入れ機関の要件

介護分野で特定技能外国人を受け入れる事業者は、厚生労働省が設置する介護分野の協議会に加入する必要があります。厚生労働省は、在留資格の申請の前に協議会へ加入するよう案内しています。そのほか、出入国在留管理庁が定める特定技能の受入れ機関としての基準(雇用契約や支援の体制など)を満たす必要があります。


3. 人員配置基準への算入

外国人介護職員を人員配置基準に数えられるかどうかは、制度によって扱いが違います。社会保障審議会介護給付費分科会の資料(第233回 資料4、令和5年11月30日)は、それまでの扱いを次のように整理しています。

制度人員配置基準への算定
特定技能1号就労開始から算定
在留資格「介護」就労開始から算定
EPA介護福祉士候補者就労開始から6か月を経過した者、または日本語能力試験N2以上の合格者
技能実習生就労開始から6か月を経過した者、または日本語能力試験N2以上の合格者

同じ資料では、就労開始から6か月未満の外国人介護職員について、適切な指導体制と介護現場の安全性の確保を前提に、法人の選択により就労開始直後から人員配置基準に算入できるように見直す方向が示されました。その際の要件の案として、次のものが挙げられています。

  • 外国人介護職員の日本語能力や指導の実施状況、施設長・介護主任・指導職員などの意見を勘案して、法人として意思決定を行うこと(理事会や経営会議などでの決定を想定)
  • 一定の経験のある職員とチームでケアを行う体制とすること
  • 安全対策担当者の配置、指針の整備、研修の実施など、組織的に安全対策を行う体制を整備すること
  • 算入することとした事業者は、都道府県等に報告すること

就労開始直後からの算入を検討する場合は、令和6年度介護報酬改定の通知・Q&Aで確定した要件と、指定権者への報告の方法を確認してから運用してください。夜勤への配置は、EPA介護福祉士候補者について、候補者以外の介護職員の配置や緊急時の連絡体制の整備などの配慮が求められています。


4. 訪問系サービスでの従事(令和7年4月〜)

令和7年4月1日(技能実習)、令和7年4月21日(特定技能)から、技能実習生と特定技能の外国人が訪問系サービスに従事できるようになりました。厚生労働省の案内による要件は次のとおりです。

本人の要件

  • 介護職員初任者研修などを修了していること
  • 原則として、介護事業所などでの実務経験が1年以上あること

事業所が守る事項

事項内容
研修訪問系サービスに従事するための研修を行う
同行訪問による訓練職員が同行して訪問する訓練を行う
キャリアアップ計画本人の意向を確認しつつ、キャリアアップ計画を作成する
ハラスメント対策ハラスメントを防ぐための相談窓口の設置など
環境の整備ICTの活用を含め、訪問先で安心して働ける環境を整える

事業所は、これらの事項について巡回訪問等実施機関(公益社団法人国際厚生事業団)に報告書を出し、適合確認書の交付を受けます。キャリアアップ計画は、評価の期間を1年とし、その終わりから4か月以内に提出するとされています。


5. 受け入れの準備の手順

  1. 制度を選ぶ:受け入れたい人の日本語・介護の技能の水準、在留期間、家族の帯同、事業所の指導体制から、4制度のどれを使うかを決める
  2. 受入れ機関の要件を確認する:特定技能なら協議会への加入と支援計画、技能実習なら監理団体と実習計画、EPAなら受入れ施設の要件(研修責任者の配置など)
  3. 処遇を決める:法令で求められる処遇の要件として、日本人が従事する場合と同等額以上の報酬とすることが求められています
  4. 指導体制をつくる:日本人職員とチームでケアを行う体制、指導担当者、記録の書き方の指導、日本語の学習の支援を決める
  5. 生活の支援を準備する:住まい、生活のオリエンテーション、行政の手続き、相談の窓口
  6. 配置と勤務表を決める:人員配置基準への算入の扱い、夜勤への配置の可否、訪問系への従事の要件を確認して勤務表に反映する
  7. 職員と利用者への説明:受け入れの目的、チームの体制を職員に説明し、利用者・家族にも必要に応じて説明する

受け入れ前のチェックリスト

  • 受け入れる制度を決め、その制度の要件を一覧にした
  • 報酬が日本人と同等額以上になっている
  • 特定技能の場合、在留資格の申請前に協議会に加入した
  • 指導担当者と、チームでケアを行う体制を決めた
  • 人員配置基準への算入の扱いを、制度と指定権者の取扱いで確認した
  • 訪問系に従事させる場合、本人の要件と事業所の5つの事項を満たし、巡回訪問等実施機関への報告の準備をした
  • 住まい・生活の支援・相談窓口を用意した

6. 定着のために考えておくこと

外国人介護職員の定着には、日本人職員と同じく、仕事の中での成長の見通しと、職場の人間関係が大きく影響します。制度上の要件のほかに、次のような点を受け入れの計画に入れておきます。

  • 国家試験の学習の支援:EPA候補者や、特定技能から在留資格「介護」を目指す人には、学習時間の確保と教材の支援が必要です。在留資格「介護」は更新の回数制限がなく家族の帯同もできるため、長く働いてもらう道筋になります。
  • 記録と申し送りの工夫:日本語の記録や申し送りの負担を減らすため、用語の統一やテンプレートを用意します。
  • 処遇改善加算との整合:処遇改善加算の賃金改善の対象や、キャリアパス要件の任用要件・昇給の仕組みは、外国人職員にも同じように適用します。区分ごとの要件は介護職員等処遇改善加算の一覧で整理しています。
  • 制度の変更への備え:育成就労制度の施行(令和9年4月予定)など、制度は変わり続けます。受け入れの担当者を決め、厚生労働省・出入国在留管理庁の発表を確認します。

7. まとめ

  • 外国人介護人材の受け入れには、EPA、在留資格「介護」、技能実習、特定技能1号の4制度があり、目的・在留期間・家族の帯同・配置基準への算入が違う
  • 特定技能1号は、介護技能評価試験と日本語の試験(介護日本語評価試験+日本語基礎テストまたはN4以上)で入国し、通算5年(要件により最長6年)。受入れ機関は協議会への加入が必要
  • EPA候補者と技能実習生は、6か月経過または日本語能力試験N2以上の合格で配置基準に算定する扱いとされてきた。就労直後からの算入の見直しは、確定した要件を確認して運用する
  • 令和7年4月から、技能実習生と特定技能の外国人も要件を満たせば訪問系サービスに従事できる
  • 技能実習は育成就労制度への見直しが決まっており、令和9年4月1日に施行予定

参考資料