要支援の方や総合事業の利用者を受け入れたいなら、地域包括支援センターの仕事の流れに合わせて、受け入れの条件を正確に伝えておくことが出発点です。介護保険法は、地域包括支援センターを、介護予防のケアマネジメントや総合相談、権利擁護、ケアマネジャーへの支援などを行い、地域住民の保健医療の向上と福祉の増進を包括的に支援する施設と定めています(第115条の46第1項)。要支援者などのケアマネジメントを担うのも、多くの場合この地域包括支援センターです。

ただし、総合事業の訪問型・通所型のサービスは市町村の事業です。受け入れるには、事業所が市町村長の指定か委託を受けている必要があります(第115条の45の3・第115条の47第5項)。関係づくりの前に、制度上受け入れられる状態になっているかを確かめてください。

この記事では、介護保険法と介護保険法施行規則にもとづいて、地域包括支援センターの役割、総合事業の利用者を受け入れる手続き、地域ケア会議に参加する意味、日常の連携の進め方を整理します。厚生労働省によると、地域包括支援センターは全国に5,487か所(ブランチを含めると7,374か所、令和7年4月末現在)設置されています。


1. 地域包括支援センターの役割

法律上の位置付け

地域包括支援センターは、市町村が設置するか、市町村から包括的支援事業の委託を受けた法人が、市町村長に届け出て設置します(介護保険法第115条の46第2項・第3項、第115条の47第1項)。行う事業は次のとおりです。

事業内容(介護保険法第115条の45)
第1号介護予防支援事業要支援者などが、心身の状況や環境に応じて、訪問型・通所型のサービスなどを包括的・効率的に利用できるよう援助する(第1項第1号ニ)
総合相談支援心身の状況や生活の実態の把握、関連施策の情報提供、関係機関との連絡調整など、総合的な支援(第2項第1号)
権利擁護虐待の防止と早期発見のための事業など、権利擁護のための援助(第2項第2号)
包括的・継続的ケアマネジメント支援専門職による居宅サービス計画などの検証、定期的な協議などを通じた包括的・継続的な支援(第2項第3号)

第115条の45第2項第1号から第6号までの事業(在宅医療・介護連携、生活支援体制の整備、認知症の支援を含む)をまとめて「包括的支援事業」と呼びます(第115条の46第1項)。

配置される専門職

地域包括支援センターには、原則として、担当区域の第1号被保険者(65歳以上)の数がおおむね3,000人以上6,000人未満ごとに、常勤専従の保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員(それぞれに準ずる者を含む)を1人ずつ置くことになっています(介護保険法施行規則第140条の66第1号イ)。医療・福祉・ケアマネジメントの専門職がそろっているので、事業所の説明も、それぞれの立場で知りたいことに答える形にすると伝わります。

事業所との連携は、センターの側にも求められている

地域包括支援センターの設置者は、包括的支援事業を効果的に行うため、介護サービス事業者、医療機関、民生委員などの関係者との連携に努めなければなりません(第115条の46第7項)。事業所から受け入れの条件や空き状況を知らせることは、センターの業務にも役立つ情報提供です。


2. 要支援者・総合事業の利用者が事業所とつながる流れ

総合事業の対象者

総合事業の第1号事業(訪問型・通所型のサービスなど)の対象は「居宅要支援被保険者等」で、施行規則は次の方を挙げています(第140条の62の4)。

対象者内容
居宅要支援被保険者要支援1・2の認定を受けて在宅で暮らす方
基準に該当する第1号被保険者厚生労働大臣が定める基準に該当すると判断された65歳以上の方
継続利用の要介護者要介護認定を受ける前から第1号事業のサービスを受けていて、認定後も継続して受ける方のうち、市町村が必要と認める方

ケアマネジメントを担うのは誰か

要支援者などが事業所とつながる入口は、介護予防のケアマネジメントです。

  • 地域包括支援センター:第1号介護予防支援事業と、要支援者の介護予防支援を行う。地域包括支援センターの設置者である指定介護予防支援事業者は、指定介護予防支援の一部を委託できる(第115条の23第3項)
  • 指定居宅介護支援事業所:介護予防支援の指定は、地域包括支援センターの設置者のほか、指定居宅介護支援事業者も申請して受けられる(第115条の22第1項)

運用は市町村で違います。たとえば横浜市は、令和6年4月1日から、市の指定を受けた居宅介護支援事業所が地域包括支援センターの委託を受けずに利用者と直接契約してケアプランを作れるようになったと案内し、一方で、総合事業のサービスのみを使う方や事業対象者は、従来どおり地域包括支援センターとの契約のままとしています。自事業所の地域で、要支援者のケアプランを誰が担当しているかを確かめておくと、情報を届ける相手がはっきりします。


3. 総合事業の利用者を受け入れる手続き

指定か委託が必要

総合事業の訪問型・通所型のサービスは、市町村が次のどちらかの形で行います。

形根拠内容
指定事業者による提供介護保険法第115条の45の3市町村長が指定した事業者の事業所でサービスを受けた場合に、市町村が第1号事業支給費を支給する。事業者は利用者に代わって市町村から支払いを受けられる
委託による実施介護保険法第115条の47第5項市町村が、省令の基準に適合する者に事業の実施を委託する

指定事業者の指定は、事業者の申請により、事業の種類ごと・事業所ごとに行われます(第115条の45の5第1項)。市町村長は、申請者が基準に従って適正に事業を行うことができないと認めるときは、指定をしてはなりません(同第2項)。その基準は市町村が定めるもので、平成27年の省令改正前の介護予防訪問介護・介護予防通所介護の基準の例による基準などから選ばれます(施行規則第140条の63の6)。

第1号事業支給費の請求は市町村が審査して支払い、その事務は国民健康保険団体連合会に委託できることになっています(第115条の45の3第5項・第6項)。

市町村に確認すること

サービスの類型、人員・設備の基準、単価、請求の方法は市町村ごとに違います。受け入れを始める前に、利用者の住む市町村の実施要綱や手引きで次の点を確認してください。

  • 市町村が実施している訪問型・通所型のサービスの類型と、それぞれの基準・単価
  • 指定の申請の方法(様式・期限・指定の有効期間と更新)
  • 介護保険の訪問介護・通所介護の指定と一体的に運営する場合の人員・設備の扱い
  • 第1号事業支給費の請求の方法と、利用者負担の扱い
  • 隣接する市町村の住民を受け入れる場合に、その市町村でも手続きが必要かどうか
  • 要支援者のケアプランを担当している地域包括支援センター・居宅介護支援事業所の一覧

受け入れを始めたら、利用開始の手続きは介護保険のサービスと同様に、重要事項の説明と同意から始まります。書類の整え方は重要事項説明書と利用契約の手順を参照してください。


4. 地域ケア会議に参加する意味

地域ケア会議とは

市町村は、包括的・継続的ケアマネジメント支援の事業を効果的に行うため、介護支援専門員、保健医療・福祉の専門職、民生委員その他の関係者、関係機関・団体で構成する会議を置くよう努めなければなりません(介護保険法第115条の48第1項)。これが一般に「地域ケア会議」と呼ばれる会議です。厚生労働省は、地域ケア会議を、高齢者個人に対する支援の充実と、それを支える社会基盤の整備を同時に進める手法と位置付けています。

会議は、要介護者や居宅要支援被保険者等への適切な支援のための検討と、地域で自立した日常生活を営むために必要な支援体制の検討を行います(同第2項、施行規則第140条の72の3)。施行規則が挙げる検討事項は次のとおりです(第140条の72の2の2)。

  1. 支援対象の被保険者の健康上・生活上の課題の解決に資する支援の内容
  2. 厚生労働大臣が定める回数以上の訪問介護を位置付けたとして、市町村に届け出られた居宅サービス計画(指定居宅介護支援等基準 第13条第18号の2)
  3. 地域の介護の提供に携わる者その他の関係者の連携の強化
  4. 支援対象の被保険者に共通する課題の把握
  5. 地域の介護の提供に必要な社会資源の改善と開発
  6. 地域で自立した日常生活を支援するために必要な施策と事業

事業所にとっての意味

  • 対応力を事例で知ってもらえる:個別事例の検討で、事業所がどの状態像にどう対応できるかを、地域包括支援センターやケアマネジャー、医療職に具体的に伝えられます。パンフレットより確かな情報になります。
  • 地域の課題を知り、事業の方向を決められる:共通する課題や不足する社会資源の検討は、事業所が受け入れの条件やサービスの内容を見直す材料になります。
  • 協力は努力義務でもある:会議は、必要があれば関係者に資料や情報の提供、意見の開陳などの協力を求めることができ、求められた関係者は協力するよう努めなければなりません(第115条の48第3項・第4項)。

会議の事務に従事する人には守秘義務があります(同第5項)。事業所が事例を出すときも、利用者と家族の個人情報の扱いについて、あらかじめ文書で同意を得ておく必要があります(指定居宅サービス等基準 第33条第3項)。


5. 日常の連携の進め方

  1. 担当のセンターと担当区域を確かめる:事業所の実施地域を担当する地域包括支援センターを、市町村のホームページなどで一覧にする
  2. 受け入れの条件を1枚にまとめて届ける:総合事業・介護予防で受け入れられるサービスの類型、曜日・時間、送迎の範囲、空き状況、対応できる状態像、連絡の窓口。空き状況には日付を入れる
  3. 3職種それぞれの関心に合わせて説明する:保健師には健康管理や介護予防の取り組み、社会福祉士には権利擁護や生活上の課題への対応、主任介護支援専門員にはケアマネジャーとの連携の方法
  4. 利用開始後の報告を丁寧に行う:状態の変化、サービスの実施状況を、決まった型で報告する
  5. 地域ケア会議や研修の案内に応じる:事例の提供や参加の依頼に応じ、地域の課題を把握する
  6. 紹介の経路を記録する:どのセンター・居宅介護支援事業所から紹介を受けたかを記録し、連携の方法を見直す

ケアマネジャーへの情報提供と利用開始後の報告の型はケアマネジャーへの営業と情報提供で、家族や病院を含めた経路全体の整え方は介護事業所の集客で扱っています。


6. 落とし穴

  • 指定を受けていない市町村の利用者を受ける約束をする:総合事業の指定は市町村長が行います。利用者の住む市町村で提供できる状態かを先に確認します。
  • 介護保険の訪問介護・通所介護と同じ基準・単価だと思い込む:総合事業の基準と単価は市町村が定めます。実施要綱を読まずに受け入れると、人員の配置や請求で食い違いが出ます。
  • 紹介のお願いだけをする:お願いより、利用者や家族と比べられる正確な情報を渡します。訪問介護の運営基準は、利用者に特定の事業者のサービスを利用させることの対償として、居宅介護支援事業者やその従業者に金品その他の財産上の利益を供与することを禁じています(指定居宅サービス等基準 第35条)。紹介の見返りと受け取られるものは、どの相手にも渡さないでください。
  • 空き状況を更新しない:古い情報は、相談を受けたセンターが利用者や家族に説明するときの誤りにつながります。
  • 会議で個人情報を不用意に出す:事例を出す前に、本人と家族の文書による同意を確認します。

7. まとめ

  • 地域包括支援センターは、介護予防のケアマネジメント、総合相談、権利擁護、ケアマネジャーへの支援などを行う施設で、原則として保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員を置く(介護保険法第115条の46、施行規則第140条の66)
  • センターの設置者には、介護サービス事業者などとの連携に努める義務がある(第115条の46第7項)
  • 総合事業の訪問型・通所型のサービスを提供するには、市町村長の指定か委託が必要。指定は事業の種類と事業所ごとで、基準は市町村が定める(第115条の45の3・第115条の45の5・第115条の47第5項)
  • 要支援者の介護予防支援は、指定を受けた居宅介護支援事業所も担える。自分の地域で誰がケアプランを担当しているかを確かめる
  • 地域ケア会議は、個別の支援と地域の支援体制を同時に検討する場。事例を通じて事業所の対応力を知ってもらえる(第115条の48)

参考資料

総合事業の類型・基準・単価や介護予防支援の運用は、市町村ごとに異なり、改正でも変わります。実際の手続きは、必ず事業所の所在地と利用者の住む市町村が公表している最新の資料で確認してください。