居宅介護支援事業所(ケアプランを作成する事業所)は、市町村長が指定します。訪問介護・通所介護などの居宅サービスの多くが都道府県知事(指定都市・中核市では市)の指定であるのに対し、居宅介護支援は地域密着型サービスと同じく市町村長の指定になる点が特徴です(介護保険法第79条)。

さらに令和3年度の基準改正で、新規に開業する事業所は管理者を主任介護支援専門員にすることが必須になりました。この記事では、指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号。以下「基準省令」)にもとづいて、人員基準・管理者要件・指定申請の流れを整理します。


1. 管理者要件:主任介護支援専門員が必須

基準省令の解釈通知(平成11年7月29日老企第22号)は、指定居宅介護支援事業所に置くべき管理者について、主任介護支援専門員であって、専ら管理者の職務に従事する常勤の者でなければならないとしています。

経過措置として、令和9(2027)年3月31日までの間は、令和3年3月31日時点で主任介護支援専門員でない者が管理者である居宅介護支援事業所については、その管理者が管理者である限り、管理者を主任介護支援専門員とする要件の適用が猶予されています。

この猶予は、あくまで令和3年3月31日時点で既に営業していた事業所の、その時点の管理者が継続する場合に限られます。 新規に開業する事業所には経過措置の適用がなく、開業の時点で主任介護支援専門員の資格を持つ管理者を確保する必要があります。主任介護支援専門員になるには、都道府県が実施する主任介護支援専門員研修を修了する必要があり、受講には介護支援専門員としての一定の実務経験などの要件があります(要件や開催時期は都道府県により異なります)。開業を計画する段階で、管理者候補の研修受講の見通しを立てておくことが、指定申請の日程を左右します。

なお、主任介護支援専門員の確保が著しく困難であるなどやむを得ない理由がある場合(本人の死亡、長期療養、不測の事態による退職・転居等)は、理由と今後の確保計画を保険者に届け出ることで、1年間の猶予が認められる取扱いがあります。ただしこれも既存事業所の管理者交代を想定した例外であり、新規開業の計画段階で前提にすべきものではありません。


2. 介護支援専門員の員数

基準省令は、指定居宅介護支援事業所ごとに介護支援専門員を1人以上、常勤で配置することを求めています。常勤の介護支援専門員を置くのは、事業所の営業時間中は常に利用者からの相談等に対応できる体制を整えている必要があるためで、業務上の必要性から事業所に不在となる場合であっても、管理者やその他の従業者等を通じて利用者が適切に連絡を取れる体制としておく必要があります。

配置数の目安は、解釈通知によれば、利用者の数が44人(ケアプランデータ連携システムを活用し、かつ事務職員を配置している場合は49人)またはその端数を増すごとに増員するとされています。この増員分の介護支援専門員は非常勤でも差し支えないとされています。

介護支援専門員は、他の業務との兼務が認められる場合がありますが、介護保険施設に置かれた常勤専従の介護支援専門員との兼務は認められません。訪問系サービスの事業所で訪問サービスそのものに従事する従業者との兼務も、その勤務時間が極めて限られている場合を除き、原則として認められません。


3. 指定申請の流れと主な書類

居宅介護支援の指定申請で、各市町村が共通して求める書類には次のようなものがあります。

書類内容
指定申請書事業所名称・所在地、申請者の概要、事業開始予定年月日など
登記事項証明書または条例等申請者が法人であることの確認
従業者の勤務体制・勤務形態一覧表介護支援専門員・管理者の配置を示す
管理者の経歴書・主任介護支援専門員研修修了証の写し管理者要件を満たすことの確認
介護支援専門員の氏名・登録番号・介護支援専門員証の写し配置する介護支援専門員の資格確認
運営規程営業日・営業時間、利用料、苦情処理の体制などを記載
誓約書指定の欠格事由に該当しないことの誓約

様式や添付書類の細部は市町村ごとに定められているため、事前相談の際に最新の「指定申請の手引き」を入手し、記載事項の抜け漏れを確認してください。


4. 開業でつまずきやすい点

  • 管理者の資格要件を経過措置で乗り切れると誤解する:経過措置は既存事業所の管理者継続を想定したもので、新規開業には適用されません。主任介護支援専門員の確保を最初に固めてください
  • 介護支援専門員の兼務可否の確認不足:訪問介護など他サービスの事業所と併設する場合、兼務できる範囲は指定権者の解釈によって異なります
  • 運営規程と実態の不一致:営業時間や利用料の記載が、重要事項説明書や実際の運用と食い違うと、申請時や運営指導で指摘されます
  • ケアプランデータ連携システムの活用判断を後回しにする:事務職員の配置とあわせて活用すれば、介護支援専門員1人あたりの配置基準となる利用者数が44人から49人に広がるため、開業時の人員計画に組み込むかどうかを早い段階で検討してください

介護事業全体の開業の流れ(法人設立から指定までの共通の手順)は「介護事業の開業の流れ」にまとめています。


5. まとめ

  • 居宅介護支援事業所は市町村長が指定する(介護保険法第79条)
  • 管理者は主任介護支援専門員であることが必要。経過措置(令和9年3月31日まで)は令和3年3月31日時点で既に営業していた事業所の管理者継続に限られ、新規開業には適用されない
  • 介護支援専門員は事業所ごとに常勤で1人以上。配置数の目安は利用者44人(システム活用+事務職員配置で49人)ごとに1人
  • 指定申請には、管理者の主任介護支援専門員研修修了証の写しなど、資格要件を裏付ける書類が必要

参考資料