常勤換算は、事業所の職員の勤務延時間数を、その事業所で常勤の職員が勤務すべき時間数(週32時間を下回る場合は32時間が基本)で割って、職員の人数を常勤何人分かに置き換える方法です(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について〈平成11年9月17日老企第25号〉第2の2)。訪問介護員等の人数や看護職員・介護職員の人数など、介護の人員基準の多くはこの数え方で決まっています。
数え方を誤ると、運営指導で人員基準の欠如を指摘され、報酬の返還や減算につながります。つまずきやすいのは、兼務する職員の時間、休暇を取った職員、短時間勤務の職員の3つです。この記事では、解釈通知と報酬の留意事項通知、厚生労働省のQ&Aをもとに、それぞれの扱いを整理します。
1. 常勤換算の計算式と用語
計算式
常勤換算の人数 = 職員の勤務延時間数の合計 ÷ 常勤の職員が勤務すべき時間数
例えば、常勤の勤務時間が週40時間の事業所で、週40時間の職員が2人、週20時間の職員が3人いれば、(40×2+20×3)÷40=3.5 となります。
用語の意味
| 用語 | 解釈通知での意味 | 実務のポイント |
|---|---|---|
| 常勤換算方法 | 勤務延時間数を、常勤が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本)で割り、常勤の員数に換算する方法 | 分母は事業所の就業規則などで決めた時間 |
| 勤務延時間数 | 勤務表の上で、その事業のサービス提供、または提供のための準備等(待機を含む)の時間として明確に位置付けた時間の合計 | 1人あたり、常勤が勤務すべき時間数が上限。残業で1を超えて数えない |
| 常勤 | 勤務時間が、事業所で定めた常勤の勤務時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本)に達していること | 雇用契約の「正社員」かどうかとは別の概念 |
| 専ら従事する | 原則として、サービス提供時間帯を通じてそのサービス以外の職務に従事しないこと | 常勤・非常勤を問わない |
「常勤」と「専従」は別の軸です。人員基準で「常勤」を求めているのか、「専従」を求めているのか、「常勤換算で何人」なのかを、サービスごとの基準の条文で読み分けます。
端数の扱い
短期入所サービスや施設サービスの報酬の留意事項通知(平成12年3月8日老企第40号)は、常勤換算の職員数を暦月ごとの勤務延時間数を常勤の勤務すべき時間で割って算定し、小数点第2位以下を切り捨てるとしています。同じ通知は、やむを得ない事情で職員数が一時的に1割の範囲内で減った場合、1月を超えない期間内に補充すれば減少しなかったものとみなすとしています。サービスごとの算定の単位(暦月・週など)は、各サービスの留意事項通知で確かめます。
2. 兼務する職員の数え方
常勤換算では「その事業の時間」だけ
解釈通知は、例えば訪問介護と訪問看護の指定を重ねて受けていて、ある職員が訪問介護員等と看護師等を兼ねる場合、訪問介護員等の勤務延時間数には訪問介護員等としての勤務時間だけを入れるとしています。1人の職員の時間を、職種・事業ごとに分けて記録するのが基本です。
「常勤」の判断は合算できる場合がある
「常勤」かどうかは、同じ事業者が併設する事業所の職務で、同時並行で行って差し支えないものであれば、それぞれの勤務時間を合計して判断できます。解釈通知は、併設の訪問介護事業所と居宅介護支援事業所の管理者を兼ねる人は、勤務時間の合計が所定の時間に達していれば常勤の要件を満たすと例示しています。
管理者の兼務の範囲(令和6年度改定)
令和6年度の介護報酬改定で、管理者の責務を「利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握しながら、職員及び業務の一元的な管理・指揮命令を行うこと」と明確にしたうえで、管理者がその責務を果たせる場合には、兼務先が同一敷地内の事業所でなくても差し支えないと明確化されました(省令改正・通知改正)。兼務の可否は、緊急時の対応や管理の実態で判断されます。
| 場面 | 常勤換算(勤務延時間数) | 「常勤」の判断 |
|---|---|---|
| 同じ事業所で2職種を兼務 | 職種ごとに時間を分ける | 職種の要件ごとに確かめる |
| 併設事業所の職務を同時並行で兼務 | 事業所ごとに時間を分ける | 合計が常勤の時間に達していれば常勤 |
| 管理者が他の事業所の職務を兼務 | 事業所ごとに時間を分ける | 責務を果たせることが前提(令和6年度改定で範囲を明確化) |
3. 休暇・出張の扱い
平成14年3月28日の「運営基準等に係るQ&A」は、次のように整理しています。
- 非常勤の職員の休暇や出張の時間は、サービス提供に従事する時間とはいえないので、常勤換算の勤務延時間数に入れない
- 常勤の職員の休暇等の期間は、その期間が暦月で1月を超えない限り、常勤の職員として勤務したものとして扱う
つまり、常勤の職員が年次有給休暇を取っても、人員基準の計算ではその月も1として数えられます。一方、非常勤の職員が休んだ時間は、分子から抜けます。
加算の要件では扱いが違うことがある
栃木県は、厚生労働省に確認したうえで、上のQ&Aは人員に関する基準に適用されるものであり、加算の要件としての常勤換算職員数は、手厚いサービスを評価するという加算の趣旨から、常勤・非常勤にかかわらず実際の勤務時間数で常勤換算すると整理しています(令和7年4月から適用)。人員基準と加算の要件で数え方を分けるかどうかは、指定権者の案内で確かめてください。加算ごとの要件の読み方は介護報酬の加算の取り方で整理しています。
4. 短時間勤務・産休・育休の扱い
令和3年度の改定以降、両立支援のための特例が報酬の留意事項通知に置かれています(令和6年3月15日の一部改正後の老企第36号 第2の1⑻など)。
30時間で1と数える特例
次の措置を受けている職員は、週30時間以上の勤務で、常勤換算の計算上、常勤が勤務すべき時間数を満たしたものとして1と扱えます。
- 男女雇用機会均等法第13条第1項の母性健康管理措置
- 育児・介護休業法第23条第1項・第3項、第24条の所定労働時間の短縮等の措置
- 厚生労働省「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」に沿って事業者が自主的に講じる所定労働時間の短縮措置
常勤の要件でも30時間とできる
常勤の配置が要件になっている場合も、上の措置を受けている職員については、利用者の処遇に支障がない体制が事業所として整っていれば、例外的に常勤の勤務すべき時間数を30時間として扱えます。
産休・育休・介護休業中の代替
常勤の配置が要件になっている場合で、その職員が産前産後休業(労働基準法第65条)、母性健康管理措置による休業、育児休業、介護休業などを取っている期間は、その要件で求められる資質を持つ複数の非常勤職員を常勤に換算することで、要件を満たせます。例えば、常勤のサービス提供責任者が育児休業に入ったとき、同じ資格を持つ非常勤職員2人の時間を合わせて常勤1人分とする考え方です。
| 職員の状況 | 常勤換算の扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 常勤職員の有給休暇(暦月で1月以内) | 人員基準では勤務したものとして1 | 平成14年3月28日Q&A |
| 常勤職員の長期休暇(暦月で1月超) | 勤務したものとして扱えない | 同上 |
| 非常勤職員の休暇・出張 | 勤務延時間数に入れない | 同上 |
| 育児・介護・治療の短時間勤務(週30時間以上) | 1として扱える | 老企第36号等 第2の1⑻① |
| 産休・育休・介護休業中の常勤職員 | 同じ資質の複数の非常勤で代替できる | 同 ⑻② |
5. 勤務形態一覧表を作る手順
- 分母を確かめる:就業規則・雇用契約で決めた常勤の週の勤務時間を確かめます(32時間未満なら32時間が基本)。
- 職種・事業ごとに時間を分ける:兼務する職員は、勤務表の上で職種・事業ごとの時間を分けて書きます。
- 休暇を区別する:常勤の休暇(暦月1月以内)、非常勤の休暇、長期の休業を区別して記録します。
- 両立支援の措置を記録する:短時間勤務の措置を受けている職員は、その根拠(育児・介護・治療など)と開始日を記録します。
- サービスごとの基準と照らす:常勤換算の人数、常勤・専従の要件を、サービスごとの基準の条文と照らします。
- 欠けたら届け出る:基準を下回る見込みなら、補充の計画を立て、必要な届出と報酬の扱いを指定権者に確かめます。職員の体制の変更の届出は介護事業所の変更届を参照してください。
落とし穴
- 残業時間まで数えて、1人で1を超える常勤換算にしている
- 兼務する職員の時間を分けず、両方の事業所で全時間を数えている
- 非常勤職員が休んだ時間を、予定の勤務時間のまま数えている
- 常勤職員の1か月を超える休業を、人員基準の上で勤務したものとして数え続けている
- 短時間勤務の特例を使っているのに、措置を受けている根拠の記録がない
チェックリスト
- 常勤の勤務すべき時間数(分母)を就業規則で確かめた
- 兼務する職員の時間を、職種・事業ごとに分けて記録している
- 常勤・非常勤の休暇と、1月を超える休業を区別している
- 短時間勤務の特例の対象者と、措置の根拠を記録している
- 加算の要件の常勤換算で、指定権者の扱い(実績の時間で数えるか)を確かめた
6. まとめ
- 常勤換算は、勤務延時間数を常勤の勤務すべき時間数(32時間未満なら32時間が基本)で割る
- 兼務する職員は、その事業に従事した時間だけを数える。「常勤」の判断は併設事業所の職務なら合算できる場合がある
- 常勤職員の休暇は、暦月で1月以内なら人員基準の上では勤務したものとして扱う。非常勤の休暇は入れない
- 育児・介護・治療の短時間勤務は、週30時間以上で1と扱える
- 産休・育休中は、同じ資質の複数の非常勤で常勤を代替できる
運営指導では、勤務形態一覧表と出勤簿・タイムカードを突き合わせて確かめられます。準備の全体は介護事業所の運営指導の準備で整理しています。サービスごとの端数の扱いやローカルルールは、所在地の指定権者の案内で確かめてください。
参考資料
- 厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について」(平成11年9月17日老企第25号)第2の2 用語の定義:https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta4369&dataType=1&pageNo=1
- 厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1213「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」等の一部改正について(令和6年3月15日):https://www.mhlw.go.jp/content/001227724.pdf
- 厚生労働省老健局振興課 事務連絡「運営基準等に係るQ&Aについて」(平成14年3月28日):https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2005/12662/siryou.pdf
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会(第239回)参考資料1「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001213182.pdf
- 栃木県「各種加算の要件における常勤換算方法の解釈について」:https://www.pref.tochigi.lg.jp/e03/jokinkansanqa.html