介護保険の事業所の指定は、6年ごとに更新を受けなければ、期間の経過によって効力を失います(介護保険法第70条の2第1項)。更新を忘れて有効期間の満了日を過ぎると、翌日から介護報酬を請求できなくなり、事業を続けるには新規の指定を受け直すことになります。

更新の手続きそのものは、新規の指定より書類が少なく、変更がなければ省略できるものもあります。一方で、事業所・サービスごとに満了日が違う、申請の期限が満了日より前に設定されている、欠格事由に当たると更新を受けられないといった点で、段取りを誤ると事業が止まります。この記事では、法律と施行規則、指定権者の案内をもとに、更新の手続きを整理します。


1. 更新の根拠と申請先

指定・許可の種類更新の根拠申請先
居宅サービス(訪問介護、通所介護など)介護保険法第70条の2都道府県知事(指定都市・中核市は市長)
地域密着型サービス(地域密着型通所介護、グループホームなど)同 第78条の12(第70条の2を準用)市町村長
居宅介護支援同 第79条の2市町村長
介護予防サービス同 第115条の11(準用)都道府県知事(指定都市・中核市は市長)
地域密着型介護予防サービス同 第115条の21(準用)市町村長
介護予防支援同 第115条の31(準用)市町村長
介護老人福祉施設同 第86条の2都道府県知事(指定都市・中核市は市長)
介護老人保健施設・介護医療院(許可)同 第94条の2・第108条都道府県知事(指定都市・中核市は市長)

いずれも6年ごとです。指定は事業所ごと・サービスの種類ごとに行われるため(同法第70条第1項など)、同じ建物で訪問介護と介護予防の事業を行っていても、指定を受けた日が違えば満了日も違います。総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)の指定事業者の有効期間は、厚生労働省令で定める期間ごとに更新するとされていて(同法第115条の45の6)、市町村の案内で確かめます。

満了日までに処分がないとき

更新の申請をしていれば、有効期間の満了日までに都道府県知事等の処分がなくても、従前の指定は、処分がされるまでの間なお効力を持ちます(同法第70条の2第2項)。更新されたときの新しい有効期間は、従前の満了日の翌日から数えます(同条第3項)。この扱いは、満了日までに申請を出していることが前提です。


2. 更新の申請書類

施行規則は、例えば訪問介護の更新の申請について、次の内容を記載した申請書・書類を出すと定めています(介護保険法施行規則第114条第2項)。

  • 新規の指定の記載事項(事業開始の予定年月日と誓約書の号を除く):事業所の名称・所在地、申請者の名称・代表者、登記事項証明書、平面図、利用者の推定数、管理者とサービス提供責任者、運営規程、苦情処理の措置の概要、従業者の勤務の体制と勤務形態など
  • 現に受けている指定の有効期間満了日
  • 誓約書(欠格事由に当たらないことの誓約)

すでに提出している登記事項証明書、平面図、管理者、運営規程、苦情処理の措置、勤務の体制などに変更がなければ、指定権者は提出を省略させることができるとされています(同条第3項)。ほかのサービスも、それぞれの条文で同じ形になっています。申請書は厚生労働大臣が定める様式によります。

書類準備のポイント
指定更新申請書・付表サービスの種類ごとの付表を使う
誓約書役員等の変更があれば、全員分を確かめる
勤務の体制・勤務形態一覧表直近の月の実績で、人員基準を満たしているか確かめる
登記事項証明書・平面図・運営規程など変更がなければ省略できることがある。変更の届出が漏れていないかを先に確かめる

変更の届出を出していなかった事項が、更新の書類の作成で見つかることがあります。その場合は、更新の前に変更の届出を済ませます。変更の届出の期限と手順は介護事業所の変更届で整理しています。


3. 更新を受けられない場合

更新の申請には、新規の指定の拒否の事由(欠格事由)が準用されます(同法第70条の2第4項による第70条の準用)。第70条第2項が定める事由には、例えば次のものがあります。

  • 事業所の従業者の知識・技能・人員が、条例で定める基準を満たしていない
  • 設備・運営の基準に従った適正な運営ができないと認められる
  • 申請者が拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでの者である
  • 介護保険法その他の保健医療・福祉の法律、労働に関する法律の規定で罰金の刑に処せられ、執行を終わるまでの者である
  • 社会保険・労働保険の保険料等について滞納処分を受け、正当な理由なく3月以上引き続き滞納している
  • 指定を取り消され、取消しの日から5年を経過していない(一定の役員等を含む)

欠格事由は、法人の役員等の状況にも関わります。役員の交代があった場合は、誓約の対象の範囲を確かめます。人員基準を満たしているかは、勤務形態一覧表で確かめます。常勤・非常勤の数え方は介護の常勤換算の計算方法で整理しています。


4. 更新の手順

  1. 満了日の一覧を作る:事業所ごと・サービスごとに、指定の有効期間満了日と申請先を一覧にします。
  2. 案内を確かめる:指定権者から更新の案内が届く時期と、申請の受付の開始日・期限を確かめます。例えば会津若松市は、満了日の2か月前に事業所へ通知し、満了日の14日前までに申請書類を出すよう案内しています。
  3. 変更の届出の漏れを直す:管理者、運営規程、平面図などに届け出ていない変更がないかを確かめ、あれば先に届け出ます。
  4. 書類をそろえる:申請書・付表、誓約書、勤務形態一覧表と、変更があった書類をそろえます。
  5. 申請する:厚生労働省の「電子申請・届出システム」を使う指定権者が増えています。山梨県は、国の規制改革実施計画(令和4年6月7日閣議決定)にもとづき、令和8年3月31日までに全ての地方公共団体でシステムが導入される予定であることを示したうえで、本格運用の開始後は原則として電子申請によるとしています。所在地の指定権者が紙・メール・システムのどれで受け付けるかを確かめます。
  6. 更新の通知を保管する:更新の通知書を受け取り、次の満了日(6年後)を一覧に書き込みます。

更新の前にしておきたい点検

更新の時期は、運営の状況を見直す機会にもなります。運営指導で確かめられる項目(重要事項説明書、計画、記録、研修、委員会など)を点検しておくと、更新の書類の作成と合わせて進められます。点検の項目は介護事業所の運営指導の準備を参照してください。あわせて、介護サービス情報公表の報告が済んでいるかも確かめます(介護サービス情報公表制度の報告)。

落とし穴

  • 訪問介護と介護予防の事業で満了日が違うことに気づかず、片方を失効させる
  • 満了日までに出せばよいと思い、指定権者が定める申請の期限を過ぎる
  • 担当者の交代で、更新の案内の通知を見落とす
  • 役員の交代を届け出ておらず、誓約書の対象の範囲が実態と合わない
  • 地域密着型サービスや居宅介護支援の申請先を、都道府県と取り違える

チェックリスト

  • 事業所ごと・サービスごとの満了日と申請先を一覧にしている
  • 指定権者の申請の受付期間と期限を確かめた
  • 届け出ていない変更がないかを確かめ、あれば先に届け出た
  • 誓約書の対象(役員等)を確かめた
  • 更新の通知を保管し、次の満了日を一覧に入れた

5. まとめ

  • 介護保険の事業所の指定・許可は6年ごとに更新を受けないと効力を失う(介護保険法第70条の2など)
  • 申請先は、居宅サービス・施設は都道府県(指定都市・中核市)、地域密着型・居宅介護支援・介護予防支援は市町村
  • 更新の書類は、新規の記載事項に満了日と誓約書を加えたもの。変更がない書類は省略できることがある
  • 満了日までに申請していれば、処分があるまでは従前の指定が効力を持つ
  • 欠格事由に当たると更新を受けられない

開業時の指定の流れは介護事業所の開業の流れで整理しています。申請の期限、様式、電子申請の扱いは、所在地の指定権者の案内で確かめてください。


参考資料